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山ごはんに使えるコッヘル選び~初めて買う時のポイント

山ごはんに使えるコッヘル選び~初めて買う時のポイント

寒い季節に山に行くと、温かい物を飲んだり食べたりして体を芯から暖めたくなります。
おにぎりとペットボトルのお茶でもエネルギーにはなりますが、やはり温かいものを摂った時のほうが、疲れが癒やされる気がします。

野外でお湯を沸かすための基本装備は、ガス缶、バーナー、コッヘルです。
ガス缶とバーナーは、一人に一つずつ必要なものではなく、グループ内で誰かが持っていれば共有できます。
しかし、コッヘルは、できれば自分用のものを持っておく方が便利です。コッヘルを持つと休憩のテンションが変わりますし、アウトドア感が出て写真映えもばっちりです。

ここでは、初めて自分用のコッヘルを買う方のために、どんなポイントに着目して選ぶべきかを解説していきます。

1.コッヘルとは?

コッヘルという名称は、ドイツ語のKocher(調理器具)から来ていて、アウトドアで使われる携帯用の小型調理器具のことを指します。
最近は、英語のCooker/クッカーという名前で呼ばれることも多くなりました。コッヘルとクッカー、両方が併記されていることも多いようです。

2コッヘルの選び方

コッヘルの色はほとんどグレーかシルバーなので、どれも同じように見えますが、素材や構造に注目してみると、実は色々なバリエーションがあります。
いくつのかのポイントを押さえておくことで、効率よく自分に合ったコッヘルを選ぶことができます。

2-1.形とサイズ

形は、深型と浅型の2つに大別されます。
サイズは様々ですが、1人用であれば深型で900ml~1000ml、浅型で500ml~600mlくらいのものが一般的です。カップヌードル1個に必要なお湯の量は300ml程度なので、浅型がひとつあればラーメンとインスタントコーヒー分くらいのお湯は沸かせることになります。
野外でお湯を沸かす機会がそれほどない方であれば、浅型を一つ持っておくだけで十分かもしれません。

2-2.素材

コッヘルの代表的な素材は、アルミ、ステンレス、チタンの三種類です。

アルミ製のコッヘルは軽量で安価です。熱伝導率が高く、効率よく調理ができます。
また、素材が柔らかいため、歪んだり傷がつきやすいので、使い方によっては寿命が短くなります。
それに対して、ステンレスは重く、丈夫なのが特徴です。熱伝導率は低く、直火でも調理ができるので、山登りに持っていくよりもキャンプの調理器具として活躍するタイプです。

チタンはもっとも軽量で、およそアルミの半分くらいの重量になります。またへこんだりしにくく耐久性があるのですが、高価なのが難点です。
熱伝導率が低いので、持ち手が熱くなりにくく、保温性もある反面、火が当たっているところだけが焦げやすく、調理が難しいのがデメリットです。

初めてコッヘルを買うなら、扱いやすいアルミ製を選ぶのが良いでしょう。
チタン製は長持ちすることと、軽いことが利点ですが、特に軽量化へのこだわりがなければ安価なアルミ製で問題ありません。お湯を沸かすだけなら、なおさらアルミ製で十分です。
最近では、焦げ付き防止のテフロンコーティングを施したアルミ製コッヘルなどもあるので、ご飯を炊いたり、調理をメインにしたい方はそちらもおすすめです。

2-3.形

コッヘルの形

丸い形のコッヘルが主流ですが、角型もあります。
角型は袋ラーメンの麺を割らずにそのまま調理できる利点があり、丸型はOD缶と言われるアウトドア用の丸いガス缶が収納できることで好まれています。

コッヘルは丸型というイメージが強いので、つい無難な丸型を買ってしまいがちですが、実際に丸形を使っていると、ザックへの中で無駄なスペースができてしまい、収納が難しいと感じることもあります。角型はマイナーながら、案外使い勝手が良い点もあるので、ぜひ、両方の形を検討してください。

3.初めてのコッヘル選びのコツ

3-1.コンパクトさ

上記のように、お湯を沸かすだけなのか、ラーメンを煮込むのか、ちょっとした料理もするのかによってコッヘル選びは分かれます。
しかし、山登り用であるなら、やはりコンパクトさや軽さを重視したいところです。あまりに重いものやザックに収納しにくいものだと、持っていくのが面倒になってしまい、元も子もありません。

3-2.持ち手

持ち手は、コッヘル選ぶ時の大事なパーツです。
熱いお湯を注ぐ時に、持ち手が不安定だったり、熱くなりやすいかったりすると、中身をこぼしてしまったり、コッヘルをひっくり返ってしまうなど、事故に繋がります。
熱くなりにくい素材であったり、持ち手にコーティングがされているかどうか、中身がずっしり入っていても自分の手でしっかりと持てる大きさ・形状か、などに注目してみましょう。
といっても、店頭で中身の入ったコッヘルを手に持てる訳ではないので、振ってみてガタツキなどが感じられないか、手の大きさに合っているかなどを判断基準にしましょう。

3-3.フタ

フタ付きであれば沸騰時間も短くでき、ゴミやホコリも入りにくくなります。その上、深さのあるフタであれば、それ単体でフライパンや小皿として使うこともできます。
フタにも持ち手が付いていることが多いですが、その形は様々です。持ち手が小さすぎると、フタを取る時に火傷する恐れもあります。フタの扱いやすさも確認しておきたいポイントです。

3-4.重ねられるか

上では、ラーメンとコーヒーなら浅型コッヘル一つで十分と書きましたが、ご飯とおかずや汁物と主菜のようなメニューになると、お湯を沸かす分と料理をする分とで、一つだけでは足りないと感じることがあります。
浅型以外に深型のコッヘルがもう一つあれば、軽いハイキングの時はお湯を沸かすだけの浅型一つ、泊まりの時は両方持っていくといった使い分けで、だいたいの山キャンプに対応できます。
その際、二つはバラバラではなく、同じメーカーのものを購入することで、重ねて収納が可能なものもあります。できるだけコンパクトに収納できるものを選ぶようにしましょう。

まとめ

山ごはんに使えるコッヘル選び~初めて買う時のポイント

コッヘルには調理器具、マイ食器、マイカップとしての役割があり、自分のコッヘルを持つと、水を汲んだり、缶詰を温めたりと、使いたいことやできることがどんどん増えていきます。最初はお湯を沸かしてお茶を飲むだけだったけれど、使ううちにちょっとした料理もしてみたいと思うようになるかもしれません。
ですから、初めてコッヘルを買う時は、まずは上記のポイントを参考に、自分自身の使いやすさ、扱いやすさを基準にした上で、コッヘルを手に入れたらどんなことがしてみたいか想像を広げてみるのが良いのではないでしょうか。
吟味して選んだマイコッヘルを連れて山に登れば、山ごはんは一層美味しく、登山はさらに味わい深いものなるでしょう。



nakajima_n

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