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安全登山の心強い味方コンパス。その必要性とおすすめのタイプを紹介

安全登山の心強い味方コンパス。その必要性とおすすめのタイプを紹介

安全登山に必要なものは様々ですが、その一つが地図とコンパスです。
一方でスマホのGPS機能を使った登山用地図アプリが普及し、初心者でも手軽に現在地などの情報を高い確度で入手できます。
それでは、紙の地図とコンパスに最早価値はないのでしょうか?
いいえ。そんなことはありません。
地図アプリの注意事項を読んでみると、殆どのものが紙の地図の携行を推奨しています。バッテリー切れや故障といったトラブルに見舞われた際に、紙の地図やコンパスが必要になるからです。
つまり安全登山のために、まだまだ紙の地図とコンパスは現役なのです。
そんな地図とコンビで活躍するコンパスについて紹介します。

1.登山にコンパスはいるの?

登山にコンパスはいるの?

登山にコンパスが必要なのではなく、地図を読むためにコンパスが必要なのです。
コンパスは地図と組み合わせ、山で現在地を知り、進行方向を定め、目的地への道程を知るために使います。
地図とコンパスはセット。どちらか一方だけあっても、その機能を発揮することはできないのです。
本来コンパスは方位を確認することしかできません。しかし、地図の情報と現地の地形やランドマークと照らし合わせることで、登山に必要な情報を得ることができるのです。
極論すれば、紙の地図を使わなければコンパスは不要です。
しかし、登山の世界は「備えあれば憂いなし」。機器不調時にも紙の地図による地図読みを習得していれば、道迷い対策になるでしょう。

2.スマホやアウトドアウォッチで代用できるの?

スマホやアウトドアウォッチで代用できるの?

スマホやアウトドアウォッチにもコンパス機能があれば代用は可能です。
ただし個人的所感としては「使い難い」の一言に尽きます。
登山の最中に使う場合は、立ち止まって地図を広げ、コンパスをその上に乗せる形で地図読みを行います。
その場合スマホは大きすぎて地図を読むのに邪魔です。落としてしまった場合には故障してしまうかもしれません。
アウトドアウォッチは落とす心配はありませんが、やはり自分の手が地図を隠してしまいます。
スマホやアウトドアウォッチにはコンパスにはできない役目があるので、そちらに専念してもらい、地図読みには登山に適したコンパスが使い易いでしょう。

3.登山で使い易いコンパスはあるの?

登山で使い易いコンパスはあるの?

登山に向いたコンパスとしてはフィールドコンパスというものが向いてします。
透明なプレートが付いたコンパスで、プレートには地図の縮尺に合わせた㎞換算の目盛りや進行方向を表す矢印など、地図読みに欠かせない機能が付属しています。
何よりも方位磁針を制動させるオイルの充填されたカプセルは、地図読みには欠かせません。このカプセルの操作は地図読みの基本的な操作のひとつなので、登山で使うのであれば、初心者はぜひフィールドコンパスを手に入れてください。
上級者で、より高い精度を求めるのであればミラーコンパスがあります。
ミラーコンパスは名前の通りコンパスに鏡が付いていて、その鏡に映ったコンパスを使い、景色を見ながらコンパスを同時に使用できるものです。
どのようなタイプのコンパスでも、針の動きが安定しているオイル式を選ぶと使い易いはずです。

4.コンパスを使い易くする工夫は?

コンパスを使い易くする工夫は?

実際の登山で地図とコンパスを使い、地図読みをする時には磁北線があるとかなり分かり易くなります。
磁北線とは磁北を地図上に記したもので、コンパスが指し示す北のことを「磁北(じほく)」といいます。
地図上の北を「真北(しんほく)」といいますが、実は真北と磁北は地域によってズレがあります。このズレを「西偏(せいへん)」といい、日本では西へ5度から10度ほどです。
また、このズレは長い時間をかけて少しずつ変化するため、殆どの地図には記載されていません。そのため自分で書き込む必要があるのです。
西偏の角度を地図読みの度に計算するのは面倒ですし、間違える可能性も非常に高いので、事前に磁北線を書き込んでおくことはコンパスを使い易くするための第一歩でしょう。
その際に注意したのが、南北を間違えてしまうこと。
南北の間違いを防止するためにもマップケースを使い、磁北線に北方向を示す目印などを一緒に書き込むとさらに使い易いはずです。

5.コンパスを使う時の注意はあるの?

コンパスを使う時の注意はあるの?

コンパスにはストラップなどが付属している場合があります。
このストラップがある程度の長さの場合もありますが、決して首から下げないでください。
滑落などをした場合、そのストラップが障害物に引っかかって窒息する危険があります。
最近のモデルには一定以上の力が加わると外れるストラップもありますが、自分で取り付けたストラップや付属の紐などは危険です。
マップケースやザックといった事故の場合に危険がない場所につけるか、ウェアやザックのウエストポケットなどに収納するとすぐに取れだせるので良いでしょう。

使用時の注意点としては、正しい手順で操作しても進行方向からズレる場合があります。
その誤差はコンパスを正しく構えられていないために発生するものです。水平に構えられておらず、その分だけ実際との誤差が発生し、最終的に歩いた時のズレとなるのです。
防ぐ方法は簡単です。
コンパスを鳩尾の辺りに構え、水平にするだけ。
鳩尾の辺りに当てることで自分の体に対して真っすぐに構えられ、進行方向のズレを防ぐことができます。
その際には地面に対して水ではなく、コンパスの針を水平にするように意識しましょう。
登山道がはっきりしている山域では誤差は問題ないかもしれませんが、複雑な分岐や藪漕ぎなど方向感覚を失い易い、道迷いに陥りやすいので正確な地図読みが特に必要になります。

まとめ

GPS機能と連動した地図アプリがあっても、まだまだ安全登山のために紙の地図とコンパスは欠かせない存在です。
どちらにも長所と短所があり、どちらが優れているとは一概に言えません。
お互いを補い合うように利用することこそ、登山者が装備の力を発揮させるということではないでしょうか。
しかし、コンパスを用いた地図読みには知識と経験が必要なことも事実。
書籍やweb上の情報だけでは不安な人は、講習会や日帰りのツアーなどを利用し、プロから実践的な方法を学ぶのも一つの手です。
登山用品を販売しているメーカーが主催している場合もあるので、よく行く店舗の店頭などで問い合わせてみてください。

(品川)

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