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初めてのテント泊 おすすめの山は?

初めてのテント泊 おすすめの山は?

1.何を基準に山を決めるか?

初めてのテント泊は不安のことがいっぱい。
何を持っていけばわからないし、重い荷物を背負っての登山は体力を消耗しそうだし、
悪天候になった時のことも考えておかなくてはなりません。
そこで初心者が安心できるテント場の基準4つを紹介いたします。

1-1.テント場が森林限界以下の場所かどうか

深い森に囲まれているテント場は、天気が悪化した場合でも森に守られるので安心できます。
また地面が土であることが多いため、ペグもさしやすくテントの設置が容易です。
初めてのテント泊はできるだけ森林限界以下のテント場にしましょう。

森林限界を超えると虫に悩まされなかったり、抜群の景色に恵まれたり、
山頂でご来光をみることができたりとメリットもたくさんあります。
しかしながら強風、大雨の影響をダイレクトにうけたり、岩場が多くテントを張るのが難しかったりと、
経験者でなければ対応が困難な場合が多々あり、初心者には向いていないのが実情です。

1-2.登山道からテント場までの時間

テント泊は衣食住をすべて自分で運ぶ必要があり、
ザックの重量は必要最低限のつもりでも簡単に10kgを超えてしまいます。
重いザックを背負った状態では、通常の登山の1.5倍時間がかかると想定しておきましょう。
このためテント場が登山口から近い、もしくは山頂までの中間地点にあるテント場がおすすめになります。
テント場に重い荷物を置けば軽々と山頂を目指すこともできますよ。

1-3.近くに山小屋があるテント場

天気が悪化した場合や緊急時に助けを求めることができます。
また水場がある場合は必要最低限の飲料水だけで済みますし、
食事を山小屋でとる場合は、調理器具など荷物を軽減することができます。

1-4.危険個所は少なめに

鎖場やハシゴ、岩場などは、荷物が重くなるとバランスを崩しやすく危険です。
初心者のうちは荷物を置いて山頂を目指せる山か、危険個所が少ない山に絞りましょう。

.おすすめの山

それでは初めてのテント泊はどの山がいいのか、関東から九州まで幅広く5つの山を紹介します。

2-1.雲取山

東京都最高峰
雲取山は、東京都、埼玉県、山梨県の県境に位置しており、東京都の最高峰(2017m)でもあります。東京都で唯一日本百名山に選ばれている山で、東京都民なら一度は行っておきたい山ですね。テント場は三条の湯、七ツ石小屋、雲取山荘の三か所で、いずれも通年営業している山小屋があり安心できます。

三条の湯
雲取山には三条の湯という秘湯感あふれる温泉があり、登山者の疲れを癒してくれます。肌がつるつるになる効用があり、特に女性にはうれしいですね。この三条の湯には15帳ほどのテント場があります。木々に囲まれ清涼な川を見渡すことができ、雰囲気がとても良いのでとてもおすすめです。特に紅葉の時期は見事で人気も高いそうですよ。

登山者が多く危険個所がない。
雲取山の総歩行時間は10時間以上と少し長いので、体力が必要な山ではありますが、危険個所が少ないため初級者でも十分にトライ可能です。できるだけ荷物を軽量化させてから行きましょう。また首都圏から近いこともあり、登山者がたくさんいることも安心できる材料です。

2-2.瑞牆山、金峰山

瑞牆山、金峰山

日本百名山二つ制覇
クライミングやボルタリングの聖地としても知られている瑞牆山と奥秩父の盟主とも呼ばれる金峰山。共に日本百名山に選ばれており、山頂からは富士山、南アルプス、八ヶ岳まで見渡せる大パノラマを楽しめます。

中国墨絵のような雰囲気を持つ風景
瑞牆山は、桃太郎岩、大ヤスリ岩など面白いネーミングをもつ奇岩・巨岩がたくさん。黒雲母花こう岩の岩峰はまるで中国墨絵のようです。金峰山の山頂にある五丈岩は、積木を積んだような不思議な光景ですよ。

登山口から近く、広いテント場
富士見平小屋のテント場は登山口から約一時間。このテント場を使えば、重い荷物を置いてこの百名山の二座に挑戦できます。テント場はとても広いので、駐車場がいっぱいになってもテント場が埋まることはないそうです。

2-3.焼岳 (小梨平キャンプ場)

バスターミナルから近いキャンプ場
小梨平キャンプ場は上高地のバスターミナルからなんと10分。東京、名古屋、大阪から上高地へバスが出ていますので、重い荷物を背負う時間はほとんどありません。テントからは清らかな梓川や穂高連峰などの絶景が見え、この上ない贅沢な時間を過ごせます。

充実した設備
テント、食料品、調理器具のレンタルはもちろんのこと、お土産、オリジナルの日本酒、携帯の充電やFree WiFi、ワインコーナーまでそろっているという充実ぶり。テント宿泊者は小梨の湯にも入ることができます。日本屈指の快適な設備を持つキャンプ場なので、テント泊に抵抗がある人が来ても楽しむことができそうです。

北アルプス唯一の活火山
焼岳は北アルプス唯一の活火山で、現在も噴煙が上がる姿がみられます。登山前には気象庁の最新情報を手に入れてから行くといいですね。乗鞍岳とともに北アルプスの中では比較的難易度の低い山として知られています。上高地からのルートは長いハシゴが有名で、樹林帯を抜けると活火山らしい荒涼とした山肌が広がります。山頂付近では硫黄臭が漂い火山ガスには注意が必要です。

熊や野生動物の生息地
上高地で20208月テント泊の女性が熊に襲われるという事故がありました。原因は、熊が人間の食べ物の味を覚えてしまったことと考えられ、キャンプ場ではごみの徹底管理を行ったり、熊が身を隠せる笹を刈ったりするなどの対策をとっています。また利用者には熊についての講習を受けてもらい、各自で熊対策をする旨の誓約書を求めています。上高地全体が熊の生息地であることを強く認識しておく必要があります。

参考:森林文化協会ホームページ 
クマ対策、来季へ徹底 上高地のキャンプ場、人身事故受け環境省 /長野県 - 森林文化協会 (shinrinbunka.com)

2-4.立山

立山

アクセスの良さ
スタート地点となる室堂は標高2,450mと高いものの、立山黒部アルペンルートを使えば長野からでも富山側からでも簡単にアクセスすることが可能です。

テント場が近く施設も充実
テント場が室堂から1時間と近く、フラットで広大なためテントを張る場所に困りません。立山連峰と大日連峰という壮大な景色が気軽に楽しめるので、山に登らず室堂付近でのハイキングを楽しむ家族連れも多いようです。管理棟には水場と水洗トイレがあり、また周辺には山小屋が点在しており緊急の際にも安心できます。

日本で一番標高の高い温泉施設
テント場付近の山小屋でも入浴ができますが、室堂ターミナル近くには日本で最も標高の高い温泉「みくりが池温泉」もあります。硫黄の香りがする乳白色のお湯は100%掛け流しです。

2-5.くじゅう

天然記念物のミヤマキリシマ
5月下旬~6月中旬は天然記念物に指定されたミヤマキリシマが咲き誇り、花の絨毯のように斜面に広がる風景は圧巻です。

九州最高所の温泉
坊ガツルキャンプ場のそばには九州最高所の温泉、法華院温泉があります。風呂につかりながら大船・平治・立中の三山をゆっくり見ることができ、湯冷ましがてら広いオープンデッキで休憩するのもおすすめです。またくじゅうの周辺には湯布院、別府といった日本を代表する温泉地がありますので、下山後も温泉を楽しむことができます。

ラムサール条約にも登録された貴重な湿原
タデ原湿原や坊ガツル湿原はラムサール条約にも登録されている貴重な湿原です。野焼きという人為的な行為が森林化を防ぎ、湿原が維持されてきました。尾瀬にも似たこの湿原は、木道が敷かれていて自由に散策をすることができます。

まとめ

はじめてのテント泊は何をどれぐらい持っていけばよいのかわからず、
荷物が重くなりすぎたりあるいは少なすぎて寒い思いをしたりと想定外のことが起こりがちです。
いつも行っている山よりレベルの低い山からスタートしましょう。
ここで紹介したテント場は、アクセスが良かったり、近くに有人の山小屋があったり、
温泉にはいれたりと初心者にはとても快適なテント場ばかりです。
自分のレベルにふさわしい山を見つけて、初めてのテント泊を成功させたいですね。


(酒井健斗)

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