富士登山向けセット
ワカンって何?雪の上を歩けるアイゼンと相性の抜群の道具を紹介
積雪の厳しい雪山を歩くと足が雪に埋もれていって、ほんの数メートルの移動でもとても体力を使ってしまいますよね。そんなときに役に立つのが今回ご紹介させていただきます「ワカン」というアイテム。
名前を知らなかったとしても見覚えのある方は多いと思いのではないでしょうか?日本昔話などでも使われているくらい古来より存在し、現代では登山用としても使われる「ワカン」について解説していきたいと思います。
輪かんじき(わかんじき、輪樏)は、日本の山地で用いられるかんじきの一種。略してワカンとも呼ばれます。雪に接する面積を広げることで浮力を上げ、沈みにくくなるため雪上歩行が可能になります。
富山県の芦峅寺などで猟師が使っていたものが登山者用に普及し、もともとはタモ・クロモジなどの枝をUの時に曲げたものを二つ組み合わせて使用していましたが、近年では軽金属で作られたものが一般的に普及されています。
■ワカンの歴史
かんじきの歴史は古く、日本では縄文時代の遺跡である青森県八戸市是川遺跡からは、輪かんじきの一部分と思しき縄が出土され、それ以前に大陸から伝わったか独自に考案されたと考えられています。
現代でも普通に使われるワカンはそんな昔から存在する道具なんて驚きですよね。都心部では感じにくいかもしれませんが、日本では今も昔も雪山との付き合いが長いため、雪山を歩くための技術は昔からあったことが伺えますね。
■ワカンの種類
ワカンの種類は大きく分けると「フラットタイプ」と「ベントタイプ」の二種類があります。
■アイゼンとの併用
フラットタイプではアイゼンと併用して使うことができるという特徴があります。
アイスバーンや、斜度のない雪原など極端なシチュエーションではアイゼンやスノーシューが快適ですが、コンディション次第でワカンのほうが幅広く活躍するでしょう。
■ラッセルとは?
ラッセルとは、深く積もった雪をかき分け、踏み固めながら進むことをいいます。ラッセルは体力の消費が激しく、複数人で交代しながら行うことがおすすめです。
ラッセルワークや、ラッセル歩行ともいいますね。
また、ラッセルによって踏み固められた踏み跡のことを「トレース」と呼びます。トレースがあるかないかで歩行の難易度が大きく変わるでしょう。
ワカンと並んで紹介されることの多い「スノーシュー」をご紹介します。
ワカンが日本の伝統的な雪上歩行具としたら、「スノーシュー」は西洋のかんじきとなります。
ワカンよりもサイズが大きいため、浮力が強くラッセル能力が高いというメリットがありますが、狭い場所が歩きにくく、持ち運ぶ際にかさばって重い(2kg程度)など、デメリットもあります。
また、アイゼンが必要な場合は履き替えが必要となるため、シチュエーションによっては「浮力が高い」=「優れている」とは一概に考えにくいかもしれませんね。
豆知識ですが、猫の種類に「スノーシュー」という品種がいますが、名前の通り足にスノーシューをはかせたように見えることからつけられたそうですよ。
それではスノーシューとワカンでは具体的にどんな違いがあるのか比較してみましょう。
スノーシュー > ワカン
スノーシューは大きなデッキを備えているため、浮力が優れています。ワカンも浮力はありますが、浮力単独の性能ではスノーシューには遠く及ばないでしょう。
ワカン > スノーシュー
見た目でわかる通り、大きさも軽さもワカンが優れています。スノーシューは浮力を得るために大きなデッキを備えているため、どうしても携行性では劣ってしまいますね。
ワカン > スノーシュー
登坂能力とは、字の通りですが坂を登るための能力ですね。
登坂能力ではワカンが優勢です。そもそもスノーシューは坂を登るようには作られていませんので仕方のないものですけどね。
ワカン > スノーシュー
やはり構造がシンプルなワカンのほうが比較的安く手に入ります。どちらも持っていない方はお試しでワカンを買ってみるのもおすすめかもしれませんね。
ワカンとスノーシュー比較ですが、いかがでしょうか?似ているようで比べてみると使う場面や性能もぜんぜん違うことがわかりますよね。どちらを買うか悩んでいたなら、まずはどのようなシチュエーションで使うものかを想像して、適切なものを買うことをお勧めします。
いかがでしょうか?雪山登山をするならアイゼンとの相性もとても良い軽量なワカンは、とても心強いアイテムです。無駄に体力を使われるふかふかな雪もワカンひとつあるだけで楽しみのひとつに変わることでしょう。ぜひぜひ冬山の美しい景色を堪能しながら雪の上を歩いてみてください。
(Shia1925)