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アイゼンの違いはなに? 軽アイゼンとの比較や装着タイプについて徹底解説

アイゼンの違いはなに? 
軽アイゼンとの比較や装着タイプについて徹底解説

登山の道中残雪に足を取られてあわや転倒といった経験はありませんか?
冬山登山ではアイゼンの装着が必須となってきています。
ですが「どんな靴でも取り付けられるの?」「爪の数が違う?」といった疑問も多いでしょう。
ここではそんな疑問にお答えし、適切なアイゼン選びの参考となるよう特徴を徹底解説します。

1.アイゼンとは

アイゼンとは
アイゼンとは、氷や氷化した雪の上を歩く際に滑り止めとして靴底に装着する、
金属製の爪が付いた登山用具のことで、由来はドイツ語のシュタイクアイゼン(Steigeisen)の「登る(steigen)」と「鉄(Eisen)」からきています。
日本においては他に、英語やフランス語によるクランポン(Crampons)とも呼ばれることがあります。

必要な場面
冬山登山は大きく分けると、雪の降り始める10月11月あたりから「初冬登山」と呼び、12月から3月までを「冬期登山」、その中でも1月から3月初週あたりを「厳冬期登山」と呼びます。また3月後半あたりから山に雪が残っている期間中の登山を「残雪期登山」と呼ばれ、山によっては7月頭まで残雪期が続くことがあります。1年のサイクルで言えば山によって約9か月もの期間で雪を見ることができるため、冬に山を登らないとしてもアイゼンの必要な場面は多くあるといえるでしょう。

    2.アイゼンと軽アイゼン

    アイゼンと軽アイゼン

    アイゼンの選び方は登る山によって異なります。まずはアイゼンの特徴を知ることが重要になります。
    アイゼンには大きく分けて「アイゼン」と「軽アイゼン」の二種類に分けられます。

    • ・アイゼン(爪数10~14本)
      軽アイゼンとの大きな違いは、前爪があることでアイスバーンや傾斜の厳しい斜面でも蹴り込んで進むことができるため、本格的な冬山登山ではアイゼンの使用が一般的です。

    • 軽アイゼン(爪数4~6本)
      アイゼンと比べ前爪がなく、蹴ることができないため足を地面にフラットに置かないと性能を発揮できません。緩やかな傾斜の登山では軽アイゼンでも十分な場合が多いです。

    「アイゼン」や「軽アイゼン」の中でも爪数が一定ではないのは、使用者の体格や登山靴のサイズ、登山道の積雪量、傾斜、アイスバーンなどにより必要なグリップ力が変わるため、状況に応じて適切と呼べるものが異なります。
    基準としては、標準体型の男性であれば、軽アイゼンでは6本爪、アイゼンでは12本爪を標準と考え自分に合ったものを選択することが望ましいでしょう。


    装着タイプ

    装着タイプ
    アイゼン選びで重要な項目として注目すべきは登山靴の「コバ」の有無があります。
    コバとは登山靴のつま先部分やかかと部分にある溝のことを指し、アイゼンによってはこの溝に引っ掛けて装着するため、アイゼン選びではこの「コバ」の有無によって装着タイプが異なります。
    • ・ベルトタイプ
      登山靴にコバがなくても装着可能のため対応する登山靴は数多くありますが、セミワンタッチタイプ、ワンタッチタイプと比べると装着に手間がかかります。
    • ・セミワンタッチタイプ
      かかとにコバがある登山靴で装着可能で、金具とベルトで固定します。ベルトタイプとワンタッチタイプの併用モデル。
    • ・ワンタッチタイプ
      かかととつま先にコバがある登山靴で装着可能で、登山靴の種類を選びますがスキー靴と同じように靴との一体感があります。装着の手間はかかりませんが登山靴との相性が悪いと外れやすくなります。

    爪の素材
    アイゼンの爪の素材は大きく分けると「ニッケルクロムモリブデン鋼(クロモリ鋼)」「ステンレス」「アルミ」で作られていることが多く、それぞれ硬度や重量に特徴があります。

    • ・ニッケルクロムモリブデン鋼(クロモリ鋼)
      強度、硬度が高く柔軟性に優れていますが、比較的サビやすいためメンテナスは欠かさずに。
    • ・ステンレス
      クロモリ鋼には劣るものの強度に優れ、軽量でサビにくいことが特徴です。
    • ・アルミ
      最大の特徴は重量が軽いことで、強度硬度では劣るため消耗は激しい。重量をとにかく軽くする必要がある場合以外はおすすめしにくいのかもしれません。

    メンテナンス

    メンテナンス
    雪や氷は解けてしまえば水なので、金属を濡れたままにしておけば当然サビが発生し、次回使うタイミングで、ケースからだしたら見るも無残な姿になっている なんてことになってしまわないように、長く使っていくものなのでメンテナンスも含めてしっかりと管理をしていきましょう。
    • ・サビ予防のためしっかりと乾燥
      一番のサビ予防はとにかく使用後は水分をふき取り乾燥させることが重要です。めんどうくさい作業かもしれませんが、これをやるとやらないでは大きく差が出るでしょう。
    • ・サビ落とし
      サビが発生したとしても、すぐに買い替えなんてことはありません。ホームセンターなどで売っているサビ落としを使いしっかりとサビを落として管理しましょう。

    3.使用時の注意点と対処法

    アイゼンを使い慣れていないと意外なところで手間取ってしまうことはありませんか?そんなあるあるな注意点を、対処法を踏まえてご紹介します。

    • ・靴とアイゼンの隙間に雪の詰まり
      アイゼンを装着して雪道を歩いていると、靴とアイゼンの隙間に雪が詰まってしまうことはありませんか?
      主な原因は装着がゆるく、靴とアイゼンの間に隙間ができてしまうことにあります。
      対処法としてはしっかりとアイゼンを装着し、隙間を作らないことが重要です。
    • ・アイゼンの爪の引っ掛かり
      アイゼンを装着して歩く場合、気を付けないとアイゼンの爪が登山パンツに引っ掛かり、穴が開いてしまうこともあります。
      アイゼンの爪は鋭く硬いため、引っ掛けてしまうと簡単に穴をあけてしまいます。
      対処法としては、少し格好悪いかもしれませんが普段より気持ちがに股で歩くことで、意識もアイゼンの爪にいきやすくなるため予防にはなるかなと思います。
    • ・靴底に付着した雪
      雪道を歩くとどうしても靴底に雪が付着して、歩きにくくなり、無駄な体力を消耗してしまうことがあります。
      そんなときは手に持ったストックなどで定期的にはたき落としてあげると雪の重さで疲れることも少なくなります。

    4.ワカン、スノーシューについて


    アイゼンと同様に冬山を歩く際に靴に装着するアイテムとして「ワカン」や「スノーシュー」というものがあります。
    • ・スノーシュー
      ワカンが日本の伝統的な雪上歩行具としたら、「スノーシュー」は西洋のかんじきとなります。
      ワカンよりもサイズが大きいため、浮力が強くラッセル能力が高いというメリットがありますが、狭い場所が歩きにくく、持ち運ぶ際にかさばって重い(2kg程度)など、デメリットもあります。
      ラッセル能力とは、雪の中を掻き分け、踏み分けて道を開きながら進む能力のことです。
      豆知識ですが、猫の種類に「スノーシュー」という品種がいますが、名前の通り足にスノーシューをはかせたように見えることからつけられたそうですよ。

      スノーシューについて詳しくは・・・
      スノーシューってなに?雪の上でもサクサク歩ける冬の遊びを紹介>>>こちらから

    まとめ

    いかがでしょうか。ひとえにアイゼンと言ってもこれだけ様々な違いがあります。
    雪山といえば滑落事故も絶えないことからアイゼンの重要性は高く、冬山登山でなくとも必要な機会はあるといえるでしょう。
    とくに重要なのがやはり登山靴との相性があるため、お店で相談をしてみて実際に装着してみるか、レンタルをして試してみてから購入をおすすめします。あなたに合った自分だけのアイゼンを探してみてくださいね。


    Shia1925

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